「あの、すみません。夜の星ってカフェに行きたいんですけど、分かりますか?」
バイトに向かってる最中、知らない男の人に声かけられた。
知らない人、特に男の人とは話すなって言われてるけど、これはいいよね。
「はい、分かりますよ。私も今からそこに向かうつもりなので、一緒に行きましょうか」
にっこりと笑って、頷いた。
そうして、小夜さんのお店まで道案内することになったんだ。
「へー、ロックバンドをしてるんですか」
「そうそう。そのバンドで、俺はギター担当。プロ目指してんだ。いつかデビューするのが夢」
「すごいですね!頑張ってください!」
いつの間にか、相手の敬語が外れて。
会話も弾んだ。
すっかり警戒心を解いてたんだ。
「あ、ここですよ。夜の星」
小夜さんのお店に着いて案内完了。
私は早くバイトしなきゃ……
「ありがとう。あのさ、君の連絡先教えてくれない?」
「えっ……?」
連絡先……?
急にどうして……?
「すみません、そういうのは……」
「いいじゃん。少しは親しくなったんだし教えてよ」
さっきまでは見えなかったこの人の軽薄さが見えた。
あの話を聞かない人達と同じ強引さも見える。



