両想いの人とするキスがこんなにも嬉しいもので、ドキドキするなんて知らなかった。


「は?初めて?」


「えっ、あ、はい」


輝楽さんを見ると、驚いた顔をしていた。


どうして……


「元カレとはしてないの?」


「はい。頼君とは手を繋ぐことくらいしかしてないです」


多分、できなかったんだろうけど……


「それ、ほんと?」


「ほんとですよ。嘘ついてどうするんですか」


「まぁ、それは確かに」


何に驚いてるのか分からない。


「俺が初めてか……嬉しい。俺、元カレとキスしてたと思ってたから」


「してないですよ。私のファーストキスの相手は輝楽さんです」


それは確かにそうかもしれない。


私は何も考えずに輝楽さんに告げた。


「ファーストキスの相手が俺。ほんと嬉しい。ちなみに、俺も伊鳥がファーストキスの相手だよ」


「えっ、そうなんですか!?」


これには、驚いた。


輝楽さんの言ってたこと、分かったかも。


「当たり前。だって、俺今まで恋したことなかったし。女嫌いだったから。まぁ、それは今でも変わらないけど」


『だから、本気になったのは伊鳥だけだよ』とそう言われて、心臓が高鳴っていく。


「ねぇ、伊鳥。もう1回キスしていい?」


「はい。いい、ですよ」


噛んで言った私に輝楽さんは少し笑った後、もう1度唇が重なった。


さっきよりも少し深くて甘くて、それでいて輝楽さんの想いが伝わってくるような、そんな忘れられないキスだった。