「もう可愛いって言うのやめてください。心臓が持ちませんから」  


「やだ、やめない。伊鳥には自覚してもらいたいし。でないと、いつまでも心配だから」


何に自覚しろって言うんだろう……?


「まぁ、きっと自覚することはないんだろうけど」


「何に自覚してほしいんですか?」


「容姿」


言われた言葉にびっくりしたけど、容姿なら自覚するも何も本当のこと。


私は可愛くないし、綺麗でもない。


輝楽さんがおかしいんだと思う。


こんな私のことを可愛いって言うなんて。


そんなことを考えている私を見て、輝楽さんはため息をついた。


「伊鳥のことだから私は可愛くないって思ってるんだろうけど、十分可愛いから。今だって、男が伊鳥を見てるし」


男の人が私を見てる……?


どうして……?


そう思って周りを見てみると、確かに男の人がいて見ているけど、私達2人を見ているように思える。


それより、女の人の視線の方がすごい。


今度は私がため息をつきたくなった。


輝楽さんはとてもかっこいいから、女の人の視線をいつも集めてしまう。


魅力的な人だから、私も輝楽さんに釣り合うようになりたいとは思ってるけど……なかなか難しい。


輝楽さんのような完璧な人になるなんて、私には無理だから。