いつの間にか、君に恋していたんだ。



この先の言葉はなんとなく分かる。


私が濁した事情の部分を聞こうとしたんだよね。


でも、最後まで言わずとも、勘が鋭い輝楽さんは気づいたらしい。


「なるほど、だいたい分かった」


納得したように頷いてるから。


もう私の家の事情話してるし、勘が鋭い輝楽さんなら、そりゃあ分かっちゃうよね。


綺麗な夜空を見上げながら、そのまま歩き続ける。


その後はしばらく沈黙が続いた。


「伊鳥ちゃんって付き合ってる人いたんだね」


少しして、今度は輝楽さんに話しかけられた。


それも、頼君のこと。


「は、はい」


「今でも頼君って人と付き合ってる?」


じっとこっちを見てくる輝楽さん。


ちょっと強張っていて、私の答えを待ってるみたい。


「いえ、付き合ってないです」


もうあの時に、頼君との関係は終わってる。


でも、どうして私と頼君がまだ付き合ってるなんて思ったんだろう……?


不思議に思って聞いてみた。


「どうして、そんなこと聞くんですか?」


「伊鳥ちゃんが熱出した時、寝言で頼君の名前出してたから」


嘘、寝言で頼君の名前を言ってたの……?


その時のことを何とか思い出してみようとする。


……あ、そういえば。


「それ、過去のことが夢に出てきたんだと思います。その時に確か頼君も出てきましたから」


いつまでも私は引きずっていて、ちょうど輝楽さんに看病してもらった時に過去の夢を見た気がする。