「無遠慮に聞いたけど、だからと言って俺達にできることはない。それは悔しいけど、伊鳥ちゃんにやってもらわなきゃいけないんだ。冰室と話し合った方がいいよ」
「俺もそう思う!」
すごく怖い。
でも、確かに2人の言うとおり。
いつまでも逃げてるわけにもいかない。
「そうですね。明日、話し合ってみます」
そう言った私の声は硬かった。
「もう結構暗いし、輝楽兄に送ってもらったら?」
「えっ」
そんな私に気を遣ってか、太陽君が送ってもらうよう言い出した。
「い、いいよ。輝楽さんに悪いから」
それに、輝楽さんと2人きりで帰るなんて緊張する。
だって、好きな人だから。
「俺はいいよ。迷惑でもないし。でも、太陽はいいの?」
「いい!輝楽兄が送って!」
それは何やら意味深な会話。
ちょっと気になったけど、輝楽さんにいいって言ってもらえたから、少し胸が高鳴る。
緊張するのに、一緒に帰りたいと思ってるなんて……私面倒くさい。
そう思いながら一緒にマンションを出ると、外は予想以上に真っ暗だった。
これは1人で帰るの怖い。
送ってもらって正解だったかも。
緊張はするけど……
そのまま会話もせずに歩く。
緊張感マックスで、夜の静けさをまざまざと感じる。
「あ、そういえば、私今いろいろ事情があって、小夜さんの家に住ませてもらってるんです。小夜さんの家知ってますか?」
「あぁ、知ってる。前に無理やり連れていかれたから。にしても、何で……」



