ずっと咲を気にしていた。
だからかな。
ちょうど気にしていた時に……
「今日から新しく入ってくる子がいるの。紹介するわ。はい、自己紹介」
「はい!私は冰室咲です!バイト経験ゼロで分からないことがたくさんあると思うので、教えてもらえたら嬉しいです!よろしくお願いします!」
咲が私のバイト先まで来た。
どうして、私のいるバイトに……
偶然かな……?
「伊鳥ちゃん?」
その声に顔を上げると、輝楽さんが覗きこんでいた。
「き、輝楽さん、何ですか?」
……近い。
好きな人だと自覚したからということもあるけど、ドキドキしてくる。
「なんか浮かない顔してたから。あの子の知り合い?」
「あ、はい。最近うちのクラスに転校してきた子なんです」
「……なるほど。最近、浮かない顔をしてる原因はあの子か」
その言葉にドキッとした。
だって、図星だから。
浮かない顔は普通にしてると思うし。
最近は特に。
「じゃあ、教育係だけど……神崎君にお願いするわね」
そんなことを思ってる間に話は進んでいた。
「俺ですか?」
「えぇ」
えっ、輝楽さんが……?
でも、女嫌いだから断るよね……
不安で不安でたまらなかった。
「分かりました」



