誤解だと分かって、なんやかんや平和な日々。


でも、それが今日崩れようとしていた。


「そう、よろしくね……さん」


奈々美さんが笑って、こんなことを言っていたなんて知らなかった。


まさか……


「今日転校生が来ました。どうぞ、入ってきてください」


女の子も男の子もどちらもそわそわしている。


私も注目した。


どんな人が来るのかなって。


ガラッと扉が開いて入ってきたのは……


「私は冰室咲です。よろしくお願いします」


私の中学の時の親友・咲だった。


どうして、この学校に……


「うわ、美人」  


「よっしゃ!」


男の子からそんな声が聞こえてきた。


咲は昔からモテてたよね。


美人で明るくて、オシャレだったから。


でも、女の子から嫌われることはなかった。


サバサバしていたから、むしろ好かれていたんだ。


咲はクラスの人気者だった。


「冰室さんの席はあそこです。座ってください」  


「分かりました」


席は私とは離れてるから、少しホッとした。


でも、完全には安心できなかった。


「久しぶり、伊鳥!」


休み時間になると、まず私に話しかけてきた。


私のこと気づいてたんだ……