いつの間にか、君に恋していたんだ。



日曜日、私はあるお店へと向かった。


もう家事をすることはないけど、バイトで会うから。


気持ちに区切りをつけないと……


「いらっしゃいませ!」


着いたお店は美容院。


ちょっと古い発想かもしれないけど、諦めるために髪を切ろうと思ったの。


意思表示かな。


「どのくらいにしますか?」


「バッサリ切ってください」


これだけ言われても、どのくらい切ればいいのか分からないと思う。


案の定、店員さんは困ったような顔をした。


「えっと、じゃあこれくらいでいいですか?」


見せられたのは、雑誌。


そこには可愛いボブのモデルさんの写真があった。


これくらいでいいかってことだよね。


「はい、それでお願いします」  


チョキチョキ


ハサミで切る音が耳に響く。


店員さんに会話を投げかけられて、それに応じて。


後ろ髪だけでなくら前髪も切ってもらった。


「お似合いですね!」


「ありがとうございます」


店員さんからのお世辞ににっこり笑って、お店を出た。


明日学校行ったら、由香ちゃんにびっくりされるだろうな……



そんな顔を思い浮かべて、私は笑った。


そして、私の思った以上にそのことをびっくりされた。


「あれって琴月さんだよな?」


「髪切ったんだなー」


「短くなっても可愛いよな~!」


コソコソ聞こえてくる。