「そう、よかったわね。バイトには輝楽先輩もいるんでしょ?」
「うん。輝楽さんにほとんど教えてもらってるよ。すごく分かりやすいんだ」
バイトで1番よくしてくれるのは、輝楽さん。
知り合いっていうのもあると思うけど、すごく嬉しい。
「今度、そのバイト場所に行ってみてもいい?」
「うん、もちろん。私が接客するね。その時は、肇さんと一緒に来たら?」
「あぁ、もう!肇、肇、うるさい!伊鳥、あんた肇のことが好きなの?」
「うん、好きだよ」
「えっ……」
そう言った時の不安そうな顔に思わず笑ってしまった。
「明るくて気さくな人だから。面倒見も良さそうだし、お兄さんって感じだよね」
そこは輝楽さんよりお兄さんかもしれない。
でも、輝楽さんも負けないくらいいいお兄さんだよね。
「あ、お兄さんね。なるほど」
安心したような顔の由香ちゃんが可愛くて仕方ない。
こんな由香ちゃんを肇さんは知ってるのかな……?
いや、知ってるから、より由香ちゃんのことが大好きなんだよね。
「まぁ、とりあえず行くから。肇を連れてくるかは分からないけど」
「うん、来て」
肇さんと来てほしいっていうのは、単なる私のわがまま。
由香ちゃんさえ来てくれればいいんだよ。
「伊鳥のバイト姿可愛いんでしょうね」
「もう、由香ちゃんはそればっかりだね」
今のところ、普通の生活を送れてるような気がした。



