「伊鳥ちゃんには接客に回ってもらうから」
「接客ですか」
「そう。うち、裏方は結構いるんだけど、接客する人がいなくてね……だから、伊鳥ちゃん。頼んだわよ!」
「分かりました」
「じゃあ、伊鳥ちゃんに教えてあげる人、教育係を指名するわね。堀内君、お願い」
「あ、はい!分かりました!」
俺以外の男が伊鳥ちゃんに教えるとか無理。
それが先輩だとしても。
伊鳥ちゃんが他の男といるのを想像すると、胸の奥がどす黒いもので覆われてくような気がする。
こんな感情知らなかった。
こうなるのは、伊鳥ちゃんだけ。
「あ。えと、お願いしま……」
「オーナー」
伊鳥ちゃんの声を遮って、声を上げた。
「何、神崎君」
「それ、俺がします」
他の男にやらせたくない。
伊鳥ちゃんには俺が教えてあげたい。
俺以外の奴にやらせたくないんだ。
「それって、教育係のこと?」
「そうです」
「あら、そう。なら、神崎君に任せるわね。堀内君、あなた普通に仕事に戻っていいわよ」
「あ、はい」
「はい」
堀内先輩は残念そうだったけど、反対に俺は安心した。
誰にも渡したくない。
この子だけは。
「なら、自分の仕事に戻っていいわ。元から休みの人はもう帰っていいから」
オーナーの言葉で先輩達は動き出した。



