それだけ言うと、部屋から出ていってしまった。
あの人、本当にクールだな。
「ごめん、伊鳥。輝楽兄、女嫌いなんだ」
「あ、そうだったんだね」
女嫌い……だからか。
あんな反応したのは。
だったら、嫌だよね。
私といるの。
「実はさ、家事してほしいって頼んだのは輝楽兄の女嫌いを克服させるためでもあるんだ。それに、協力してほしい」
そんな隠れたお願いがあるなんて、知らなかった。
協力できるか分からないけど、できるところまではしたいな。
「うん、協力するよ。太陽君にはいつもお世話になってるし」
できる限りのことはします。
「ありがとな!あ、早速で悪いんだけど、作ってくれよ」
「うん、分かった」
お腹が空いたみたいだから、簡単なものをパパッと作った。
唯一の特技だからね、料理は。
とはいっても、そんなに上手ではないだろうけど……
「できたよ」
「早っ。じゃあ、輝楽兄呼んでくる!」
太陽君がそう言って出ていって、私は料理をテーブルに運んで待つ。
「ほら、輝楽兄」
「そんな引っ張んなくても、ちゃんと行くよ」
「いや、輝楽兄だから分からない」
「俺のこと何だと思ってるんだよ」
何やら言い合いをしながら、やってきた。
仲良いんだなぁ……そう思ったら、自然と笑顔が零れた。
「何笑ってるの?」



