「ただいま!」
見ると男物の靴があり、やっぱりご兄弟さんがいるんだって確信する。
「お邪魔します」
小さい声でそう言って、入らせてもらった。
靴をきちんと揃え、礼儀はちゃんとする。
明かりがついている部屋へ太陽君が入って、私もそれに続いた。
「太陽、おかえ……」
中には男の人がいて、私を見て驚く。
私も驚いてしまった。
ううん、正確に言えば見惚れた。
大学生くらいかな……
顔は太陽君と同じくらい、もしくはそれ以上に整っている。
やっぱり、兄弟揃って整っているんだなって感心してしまう。
ただ、太陽君と違ってクールそう。
太陽君が名前と同じ太陽なら、お兄さんは月。
太陽君とお兄さんって真逆だな……
「何、その子」
冷たい口調。
少し凍りついた雰囲気。
私、来ちゃいけなかったのかな……
「この子は、琴月伊鳥。俺の友達なんだ。大丈夫、輝楽兄が思ってるような子じゃないから。今日から母さんがいないから、その代わりに家事をしてもらうだけ。輝楽兄には絶対迷惑はかけない」
じっと見られている私。
ビクビクしつつ、頭を下げる。
「え、えっと、よろしくお願いします」
緊張で心臓がすごくドキドキしている。
「はぁ、そういうこと。太陽が連れてきた子だし、まぁ信用はするよ。でも、母さんが帰ってきたらすぐやめてもらうから」



