いつの間にか、君に恋していたんだ。



そう考えて、ため息をつきたくなった。


この反応からして、俺に媚びてくるな。


姉だとしても、伊鳥ちゃんと違いすぎる。


その女は俺がおぶっている伊鳥ちゃんを見ると、顔をしかめた。


「何で、伊鳥のことをおぶってるんです?」


「この子、熱があるから。俺の家にいても家の人が心配するだろうなと思って連れてきた」


「そうですか。ありがとうございます。伊鳥を渡してください。わざわざ手間を取らせてしまってすみませんでした」


冷たい瞳に嫌悪感に満ちている顔。


これが妹を心配する態度か……?


明らかに心配していない態度に腹が立った。


こんなの変だ……


「いや、いい。俺が部屋まで運ぶ。この子の部屋は?」


「階段登って、1番奥の部屋ですけど」


不満げな顔の姉を置いて、家の中に入らせてもらった。


そのまま階段を登って、奥に行くと伊鳥と書かれたプレートが部屋の扉にかかっていた。


ここか……


中に入ると、女の子らしくて、きちんと整頓された部屋だった。


水色が好きなのか、水色で統一されていて、でもカーテンは白色の可愛いレースが付いている。


なんか、伊鳥ちゃんらしい部屋だな。


そう思いながらベッドに近づいて、伊鳥ちゃんをそっと降ろした。