チャラい彼は、意外と一途



なんか、変態みたい。


冷静になってみると、先輩の心臓の音が速いような気がして、びっくりする。


な、何で……


乱れるのはあっという間で……とりあえず、離してほしい。


そう願っていたら、湊君が引き離してくれた。


「佐野先輩、ふゆを困らせないでください」

表情は見えないけど、怒ってるみたい。


「そんなこと、君に言われる筋合いはないと思うけど?」


「あります。ふゆは俺の大切な幼馴染みなんです。からかいたいなら、他の女にしてください」


大切な、その言葉を聞いて嬉しくなってしまう。


それと同時に心臓の高鳴りを増してきた。


幼馴染みだとしても、嬉しい。


……やっぱり、先輩の時と全然違う。


湊君といる時の方がドキドキする。


「大切だとしても、ただの幼馴染みでしょ。それに、そんなこと言ったら萌ちゃんが悲しむんじゃない?」


萌ちゃんの方を見る先輩。


「大丈夫ですよ、佑都先輩。湊がふゆちゃんのことを大事なのはよく分かってますから」


そんな先輩ににこっといつもの可愛い笑顔で言った。


……佑都先輩って名前で呼んでるんだ。


「萌のこと、勝手に名前で呼ばないでください」


イラッとした口調で言う湊君。
 

そんなに萌ちゃんのこと好きなんだな……


それに気づいてまた悲しくなる。