チャラい彼は、意外と一途



「うわー、あそこの3人やばくね?」


「萌ちゃんに紗奈ちゃんにふゆちゃん。可愛すぎだろ」


「3人が揃うと、神々しいな」


話してる内容は聞こえないけど、萌ちゃんと紗奈ちゃんが可愛いなっていう話をしてるんだろうな……


「ふゆ」


そんなことを考えていると、湊君がこっちに向かって走ってきた。


……ドキッ。


「湊君」


「今日、頑張ろうな」


少しだけ笑みを浮かべて言った湊君に胸が高鳴っていく。


「湊、そんな顔私にも見せてくれないくせに!」


「萌、いたのか」


「湊、ひどーい!」


ドキドキはすぐに消えて、代わりに重たい気持ちがのしかかってきた。


「ふゆ……」


紗奈ちゃんはそんな私を心配そうに見ている。


「大丈夫だよ」


心配させないために、無理に笑顔を浮かべた。 


そもそも、こうなったのは私のせいだから。


湊君に告白しないで、萌ちゃんと仲良くなって、萌ちゃんと湊君のやりとりを聞いて悲しくなってしまう。


私は身勝手だ。


「ふゆちゃーん!」


今度は嫌な声。


見ると、予想通り佐野先輩。


にこにこ笑ってやって来た。