チャラい彼は、意外と一途



いかにも当然って口調で言うけど……


紗奈ちゃん、それってただ見たいだけなんじゃ……?


「分かった、いいよ。見せてあげる」


佐野先輩は仕方ないなという顔で苦笑いしていた。


でも、やる気になったみたい。


ボールを持って、コートに立っているだけで絵になる。


どんな時で絵になるなんてすごいな……


そんな呑気なことを考えていると……佐野先輩はボールをあげて軽くジャンプをして打った。


軽く打っていてそんなに威力はなさそうなのに、何だろ……?


なんか、取りづらそう……


「ジャンフロだ」


隣で紗奈ちゃんがボソッと呟いた。


「ジャンフロって?」


「正式にはジャンプフローターサーブっていうのよ。威力はないんだけど、無回転で軌道が変わってるからすごく取りづらいの。あれ、初心者じゃなかなかできないわよ。バスケもすごかったけど、バレーもできるのね」


素直に感心してる様子。


こういう時は素直に感心するよね。


「どう?」


「上手でした」


「すごかったと思います」


私には絶対できなさそう。


だからこそ、余計にそこは尊敬できる。


「ありがとう。紗奈ちゃんとふゆちゃんにそう言ってもらえるのは嬉しいよ」