「やったね、ふゆちゃん!」
ハイタッチを求められて、嬉しかった私はつい先輩とハイタッチを交わしてしまった。
先輩のおかげと思っていたこともあったんだろうけど。
「可愛い。ねぇ、ふゆちゃん」
そのせいで、先輩の変なスイッチに触れたみたい。
じりじりと距離をつめてくる先輩。
「な、何ですか?」
距離をつめてくるからら1歩ずつ後ろに下がると、
「はい、やめてくださいね」
紗奈ちゃんが私と先輩の間に入ってくれた。
「あーあ、いい感じだったのに」
「ありがとう、紗奈ちゃん」
「お礼言っちゃうんだね。ふゆちゃんも酷い」
ほんと、読めない人。
おどけたようにしか言わないし、本音は絶対言わなそうだから。
「変なちょっかいかけないって約束したじゃないですか」
「ふゆちゃん、可愛いからね。ちょっとからかいたくなっちゃうんだ」
「関係ないです。ふゆをからかわないでください」
そうです。
私をからかわないでください。
「厳しいな」
「佐野先輩、普通に教えないのならサーブやってみてください。教えないとふゆの練習になりませんから」



