紗奈ちゃんはまだ来てない。
いつもなら、私の方が遅いんだけど……
珍しいこともあるもんだよね。
「おはよう、一ノ瀬さん」
「あ、おはよう。久隆君」
「柳樂さん、まだ来てないんだね」
「うん、そうなの。珍しいよね」
さっそく、久隆君に話しかけられる。
ふと昨日言われた言葉が頭によみがえった。
気にしないかって言われたら、気にするけど……でも、一応ちゃんと気をつけてるし、仲良くしたいって気持ちがあるから。
「ねぇ……」
「ふゆちゃん!」
久隆君の言葉を遮ったこの声は……
扉に目を向けてみると、昨日は来なかった佐野先輩がいた。
紗奈ちゃんもいないし、とりあえず近寄る。
「あれ?紗奈ちゃん、いないんだ?」
「はい、まだ来てないです」
「珍しいね」
はぁ、紗奈ちゃん早く来て……
「何ですか、佐野先輩」
「昨日来てなかったからね。ふゆちゃん、僕が昨日来なくて寂しかった?」
「いえ、別に」
「うわー、酷いなぁ」
そう言ってる割に、全然そう思ってるような声には聞こえない。
面白がってるみたい。



