久隆君はだいたいいろんな人に囲まれてる。
人がいないっていう状態が少ないくらいだ。
そんな人が私と仲良くなりたいなんて……
「一ノ瀬さんとは前から話してみたいと思ってたんだ。でも、なかなかきっかけがつかめなくてさ。だから、一ノ瀬さんが柳樂さんに抱きつかれて倒れそうになった時、最低かもしれないけど、ラッキーって思ったんだ。どうかな?友達になってくれる?」
知らなかった。
そんな風に思っていたなんて。
男の子の友達なんて、1人もいない。
湊君は幼馴染みだし好きな人でもあるから、友達とは言わない気がするし、佐野先輩とは絶対友達とは言わないから。
すごく嬉しい。
「うん、友達になりたい」
「よかった。じゃあ、友達の印に握手」
にっこりと爽やかな笑みで握手を求められる。
別に拒否する必要はなかったから、私は手を伸ばして握手をした。
「よろしく」
「うん、こちらこそよろしくね」
友達増えた……
それも、男の子の。
私の心の中は喜びでいっぱいだった。
だからこそ、気づけなかったんだ。
その時、久隆君がニヤリと怪しい笑みを浮かべていたことに。



