昨日、熱が高かったからね。
「あ、お礼言ってなかったな。昨日はありがとう。ふゆが看病してくれたおかげで治った」
優しい笑顔。
あまり湊君は笑顔を見せることはないから、貴重なんだ。
でも、萌ちゃんはこれをたくさん見てるんだろうな。
そう思うと悲しくもなるし寂しくもなるけど、私は彼女じゃないんだから図々しいことを思っちゃダメだと思い直した。
私に向けてくれるだけでも、嬉しいこと。
そう思うようにしなきゃ。
「ううん、お礼なんていいよ。湊君の熱が下がってよかった」
「相変わらず、ふゆは優しいな」
紗奈ちゃんからもよく言われる“優しい”って言葉。
別に私は優しくないのに……
でも、湊君は私の想いを知らないから。
知ってたら、きっと言わないだろうな。
「そんなことないよ」
「いや、あるからな」
真顔でそう言われて少し困る。
「そういえば、何でわざわざここに?」
「あ、飲み物買いに来たの。今日、お茶忘れちゃって」
「へー、珍しいな。せっかくだし、俺が奢るな」
「えっ、いいよ!」
「看病してくれた礼だ。このままだと俺の気持ちがおさまらないし、受け取ってくれ」
……湊君の方がよっぽど優しいよ。



