「あいつら、ほんとバカップルだよね」


「そうですね」


佑都先輩の呆れたような声に頷いた。


「あの、佑都先輩って進路決まりましたよね?どうするんですか?」


「うん。大学に行くつもりだよ。律とは別の」


「へぇ、そうなんですね」


「うん」


詳しく聞いてみると、佑都先輩が行く大学は県外の国内トップクラスに入る大学だった。


さすが、佑都先輩。


でも、遠いから遠距離恋愛になってしまう。


それが少し不安だった。


紗奈ちゃんも同じ状況だけど。


「ふゆちゃん、浮かない顔してるね」


「そんなことないですよ」


佑都先輩は鋭いから、きっと分かってる。


私の心の中の不安を。


「まぁ、大丈夫だよ。はい、ふゆちゃん。あーん」


口を開けると、何かを入れられた。


もぐもぐとそれを咀嚼する。


「ふゆちゃんの好きな卵焼きだよ」


それはやっぱり美味しい。


でも、こうやってあーんとかしたりできるのも残りわずかだと思うと、寂しくなる。


「美味しいです」


「それはよかった」