私も余裕を持てるようになりたいよ。


「ふゆ、佐野先輩と付き合えたんだな」


「うん、そうなの」


「よかったな」


「うん!」


湊君は相変わらず優しい。


今だって、とっても優しい顔してるもん。


「佐野先輩、ふゆを泣かせたら許しませんから。大事にしてくださいよ」


「当たり前。泣かせないし、大事にするよ」


真剣な声。


その言葉だけでも嬉しいのに。


「大丈夫そうですね。じゃあ、佐野先輩、ふゆ。お幸せに」 


湊君はそう言って去っていった。


……湊君に言うの忘れてたな。


私の口から言いたかったのに、忘れるなんて……


「湊君、いい子だよね」


「そうですけど、いきなりなんですか?」


「だって、あんな風に言えるのすごいよ。湊君、明らかにまだふゆちゃんのことを吹っ切れてないみたいだったけど、ちゃんと僕達のことを祝福してくれた。ふゆちゃんのことを相当大切に想ってるんだろうね。優しい子だなって思うよ」


「吹っ切れてないかは分からないですけど、そうですね」


佑都先輩にも湊君の良さが分かるんだね。


湊君は昔から優しくて、本当に大好きだった。


「湊君が幸せになれることを祈るよ」


「私もそう思います」


湊君ならきっといい人と出会える。


佑都先輩と同じように、私も祈ってるからね。


湊君のことを思いながらそう思った。