私はもう話してもらえないし、笑いかけてくれることもない。
萌ちゃんはずるいなぁ……
湊君を好きだった時、湊君は萌ちゃんのことが好きだったし、佐野先輩も萌ちゃんのことが好きみたいだし。
私が好きになった人を好きにさせてしまう。
「佑都、その本取って!」
「分かった、これだね?」
「うん、それ!」
会話を聞くのもやだ。
しんどい。
目頭が熱くなって、涙が零れそうになって、慌てて図書室を出た。
結局、本を返却することも借りることもできなかったな。
佐野先輩と萌ちゃんに気づかれてないよね?
気づかれてないといいけど……
私は俯いて歩いていて、角を曲がったところで誰かとぶつかってしまった。
「あ、すみません」
「ううん、大丈夫。って、ふゆちゃん?」
あ、この声は……
「凍堂先輩」
「久しぶり」
顔を上げると、爽やかな笑みを浮かべた凍堂先輩が立っていた。
本当に久しぶり。
「お久しぶりです。本当にすみません。前向いて歩いてなかったので」
「ううん。それ言うならこっちもだから。それより、何かあった?泣きそうな顔してる」



