「うん、そうだね。ありがとう、紗奈ちゃん。やる気が出たよ」
「そう、よかった。頑張りなさいね、ふゆ」
「うん」
自分の気持ちを伝えたい……とは思ってはいるものの、なかなか佐野先輩に会えない。
学年が違うからというのもあると思うけど、それ以上に佐野先輩が避けているっていうのが大きい。
前までなら佐野先輩が自分から私の教室に来ていたけど、今となってはそれがないから。
「会いたいな……」
なんか、寂しいもん。
早く誤解を解いて、仲良くしたい。
でも、今は仮にも萌ちゃんと付き合ってるんだから、仲良くしちゃダメなのかな?
そもそも、会いたいと思うのもダメとか?
でもね、無理なんだ。
1度自覚してしまった想いはやっぱりなかなか消えない。
湊君の時もそうだったから。
ごめんね、萌ちゃん……
探していると、ようやく佐野先輩に会えた。
私は途端に嬉しくなって元気になる。
我ながら単純だなって自分に苦笑いしながら声をかけた。
「佐野先輩」
「ふゆちゃん……」



