佐野先輩の言葉が途中聞こえなかったけど、どうでもよかった。


2人が付き合い始めたのは事実だから。


ボタポタ


「……っ……ヒクッ……」


涙が落ちていく。


もう2人は付き合ってしまった。


佐野先輩は私を諦めると言ったから、諦めるつもりなんだ。


「……っ……佐野先輩っ……」
  

もう遅いのに……


このまま萌ちゃんと付き合ったら、きっと佐野先輩は萌ちゃんのことを好きになる。


もし、今好きじゃなかったとしても。


いや、付き合ったってことはもう好きじゃなくなったのかもしれない。


萌ちゃんの告白によって。


私は叶わない恋しかできないのかな……?


このまま体育館の前にいても、萌ちゃんと佐野先輩に鉢合わせするだけだから、私はは走って下駄箱へ。


あの時、聞こえなかった言葉。


『ふぅ、分かったよ。でも、僕は萌のことを好きになれるか分からない。まだふゆちゃんのことを諦めれてないし、未練タラタラだから。ふゆちゃんを好きなままだけど、それでもいいんだよね?』


これを聞いていたら、こんなにも苦しまずにすんだのかもしれない。