違う、私達は付き合ってない……!
そう言おうとしたら、口を押さえられた。
湊君、離してよ……
それは伝わってるはずなのに、湊君は離してくれない。
「だったら、何ですか」
体制が変わって、湊君が私の肩を抱いた。
……まるで恋人同士みたいに。
湊君のいつもより低い声。
こんな声、あの時以来だ。
「そっか。やっぱり僕はダメだったんだ……」
本当に切ない声。
私まで切なくなってしまうほどの……
違うのに……
私と湊君は付き合ってないのに……
でも、湊君がああ言ってしまったから、誤解されてもしょうがない。
早く解きたいのに。
「……僕はもう諦めるよ。友達になれるように頑張るから、それまでは話しかけてこないでほしい。じゃあ、ふゆちゃん。湊君とお幸せにね」
無理矢理浮かべたような笑顔を最後に佐野先輩の姿が遠ざかっていった。
……そんなこと、佐野先輩には言われたくなかった。
今は佐野先輩を好きな私にとって辛い言葉だ。
でも、佐野先輩の誤解を解く前に、湊君にちゃんと言わないと。
「湊君、私佐野先輩のところに行かなきゃ」
「分かってる。でも、やっぱり佐野先輩に渡したくないんだ。ごめん、ふゆ。まだ行かせられそうにない」



