チャラい彼は、意外と一途



どこかに視線を向けていて、その視線の先を追うと、萌と湊君がいた。


萌が好きになった男、湊君。


僕は噂で知っていたんだ、湊君の存在を。


超イケメンでクールな男の子、そう僕の学年にも伝わってくるくらいのモテっぷり。


僕よりも大事にしそうな湊君だから、僕が振られちゃっても仕方ないと思ってた。


だから気にしてないつもりだったけど……


まさか、ここで見ることになるとは思わなかった。


ポロポロ溢れてる綺麗な涙を見て、ふゆちゃんは湊君のことが好きなんだと悟る。


「君、泣いてるの?」


想い人には彼女がいるのに健気に想っているふゆちゃんのことがより気になった。


ある意味、最初は好奇心に近かったのかもしれない。


僕はそれからふゆちゃんにつきまとった。


それでふゆちゃんが嫌そうにしてることも知ってたけど、やめなかった。


気になってしまったから。


一途で優しい。


でも、僕には結構辛辣な態度をとってくる。


なのに、男に慣れてないのかすぐ顔を赤くして。


可愛い、心からそう思った。


気づいたら、僕はふゆちゃんに夢中になってしまった。


ふゆちゃんのことが本気で好きで、でも伝えるつもりはなくて……なのに、結局伝えてしまった。