チャラい彼は、意外と一途



「……その紗奈ちゃんの方だよ。何で分かるの?」


「絞り込んでみた」


その子は確かに綺麗な子だった。


多分、律の好みドストライク。


そもそも、入学式の時騒がれてたし。


「面食いだね、律って」


「いいでしょ、別に」


「ふっ。紗奈ちゃんにお近づきになることがあったら、その時は律の腹黒さ言っちゃおっかな~」


「その時は怪我してもらうことになるけど、いいの?佑都」


そう言った時の律のブラックオーラはヤバかった。


律はその紗奈ちゃんって子が本気で好きらしい。


ここまで本気なのは見たことない。


「うーん、できればやめてもらいたいな」


「だったら、言うな」


怖いな、律。


口調もちょっと乱暴になってきたよ。


律は普段穏やかで優しいけど、腹黒いところもある。


それを知ってるのは、今のところ僕だけ。


僕と律は幼馴染みみたいなもので、律は僕の家庭環境を知ってる。


なんやかんや、1番頼りにしてる親友だよ。


「っていうか、向こうは律のこと知らないんじゃない?律、だいたい保健室登校だし」


「まぁ、そうかもね」


「早くしないとマズいんじゃない?紗奈ちゃんって、モテるだろうし、すぐ彼氏作っちゃうよ?」