チャラい彼は、意外と一途



大きな不安に駆られる。


私がもっと早く佐野先輩のことを好きだと自覚していれば……


ううん、自覚はしてた。


ただ、私が佐野先輩への気持ちを認めたくなかっただけ。


後悔しても遅いのに、後悔しかやってこない。


私はこの気持ちをどこにやればいいんだろう……?


まるで迷子みたいになってしまった。






〔佑都side〕


僕はふゆちゃんのことが好き。


それにはっきり気づいたのはいつからだろう。


もしかしたら、初めから好きだったのかもしれない。


とことん一途なふゆちゃんに徐々に惹かれていったのかもしれない。


どっちにしろ、曖昧だった。


ふゆちゃんの存在を知ったのは、僕が高校3年生になったばかり。


つまり、入学式の時。


問題の入学式の時、生徒会長が休みで、代わりに毎回主席の僕が挨拶することになった。


そこは副会長でしょって思ったけど、仕方なく。


でも、今となってはよかったのかもしれない。


ふゆちゃんの存在をいち早く知ることができたから。


もともと、僕は入学式をサボるつもりだったしね。