佐野先輩は家に帰っても、両親がいない。
でも、けんと君の場合はいる。
それが羨ましいんだよね。
「また会える?」
「うん、きっと会えるよ」
佐野先輩はけんと君の質問にニコッと笑って答え、けんと君の頭を優しく撫でた。
それから、立ち上がって
「お母さんも怒らないであげてください。この子、最初はお母さんとはぐれて泣いてたんです。寂しかったんでしょうけど、僕達と遊んで気が紛れたんでしょうね。でも、本当に寂しくてしょうがなかったと思いますから」
「あ、はい。そうですね。健斗、帰ろう?」
「うん!お姉ちゃん、お兄ちゃん、バイバイ!」
可愛らしく手を振っているけんと君に手を振り返した。
姿が完全に見えなくなると、
「ふぅ。じゃあ、行こっか。ペンギンでも見に行く?」
「はい、行きたいです」
ペンギンは可愛くて好き。
だから、できれば行きたいと思っていたんだ。
「あ、そうだ。これ」
「……?」
渡された物を見ると、イルカとペンギンのぬいぐるみだった。
「えっ、これ……」
「買ったんだよ。せっかくだし、もらって」
いつ買ったんだろう……?
だいたい一緒にいたし、買う時なんて……あ、あの時だ!



