「なんか、腫れてますね」


「うん、だろうね。片っ端から女の子と縁を切ってたら、いろんな女の子に殴られたから」


苦笑いを浮かべてそう言う佐野先輩。


いろんな女の子に殴られたって痛いだろうに……何で、そこまでしたんだろう?


「何でそこまでしたんですか?」


「えー、それ言った気がするけど?ふゆちゃんに誤解されたくないからって。僕がふゆちゃんのことを本気だってわかってもらうためだよ」


その表情は真剣で、不意に昨日の告白を思い出した。


本当に本気なんだ……


私は佐野先輩の気持ちをなめていたかもしれない。


でも、本当に何で私なんだろう……?


私より可愛い子なんて周りにたくさんいるはずなのに。


さっきの先輩だって、可愛かったし。


悶々と考えていると、


「じゃあ、ふゆちゃん。また後で」


その間にひらひらと手を振って、佐野先輩は去っていった。


その後ろ姿が見えなくなると、私も教室に戻った。


その放課後……


「ふゆちゃん!」


佐野先輩が私の名前を大声で呼んだ。


また教室に来たんだ……


そういえば、また後でって言ってたな……


こういう時、紗奈ちゃんは嫌な顔して行かなくていいよって言ってくれるんだけど……


「ふゆ、行ってきたら?」


まさかそう言われるとは思ってなくてびっくりしてしまった。