「本当だよ。僕はふゆちゃんだけ」
ぎゅっと強く抱きしめる佐野先輩。
そんなシチュエーションだからか、少しドキドキしてきた。
「いいですよ。そんなこと言ってくれなくても」
ちゃんと分かってますよ、私は。
そういう意味を込めて言う。
「分かってないよ、ふゆちゃんは」
切なそう声にびっくりする。
何で、こんな切ない声で……
「ふゆちゃん、僕じゃダメ?」
佐野先輩がそう言った時、ビュウと風が入ってきたような気がした。
それって……
「僕じゃダメというのは……」
「ふゆちゃんには直球じゃないと伝わらないよね」
佐野先輩は苦笑いをして……でも、はっきりと。
「僕、ふゆちゃんのことが好きだよ」
思考が停止。
今、私のことを好きだって言った?
あの佐野先輩が……?
「それって、冗談……」
「冗談でこんなこと言うと思う?」
分かってる、冗談じゃないって。
だって、顔と目が真剣だから。
だからこそ、信じられないんだ。
「何で、私なんかのことが……」
「私なんかって言わないでよ。ふゆちゃんは十分魅力的だよ?」
顔が赤くなっていくのを感じる。
普段、そんなこと言われてないから。



