チャラい彼は、意外と一途



ちゃんと分かってほしかった。


佐野先輩は1人ぼっちじゃないことを。


私達がいるってことをを。


「ふっ。そこは私がいますよって言わないと」


「凍堂先輩が主にですよ」


「言うね。でも、ありがとう。その言葉は嬉しいよ」


いつもの笑顔よりも柔らかい。


この笑顔は本当の笑顔だと思う。


その笑顔に、つい見惚れてしまった。


「あれ?もしかして、僕に見惚れてる?」


「そ、そんなんじゃないですよ!」


完全に調子が戻ったね、佐野先輩。


「素直じゃないね。そんなふゆちゃんも可愛いけど」


「からかわないでください」


まったく、この人は……
 

「からかってないよ、本当に思ったから」


フワッとあのしつこくないけど甘い香りが私の鼻をくすぐってきた。


それで、抱きしめられてることが分かる。


「ちょ、佐野先輩……」


「あーあ、何でだろうな。最初はただの興味だったのに。いつの間にか、こんな気持ちになってるなんて」


意味が分からない。


佐野先輩は何を言ってるんだろう……?


「何言ってるんですか?」


「ふゆちゃんだもんね。分からないか」