狼姫と野獣

花屋に入って店の一角にあるプリザーブドフラワーを見た。

その中の5千円の商品が綺麗で、永遠もこれがいいねって言ってくれたけど、手元には3千円しかない。

どうしようか迷っていたら中年の女の店主が出てきて、誰に買うのかって聞いてきた。

母親の誕生日プレゼントに、と伝えたらその商品を3千円で売ってくれた。



「よかったね」

「店主がいい人でよかった」

「きっと快の真剣な気持ちが伝わったんだよ」

「うん、永遠もついてきてくれてありがとう」

「い、いいよ……それより、早くお母さんに渡してあげて」

「ああ、ありがと。また明日」

「また明日ね、快」



永遠とはそこで別れて、少し足早に家の方向へ歩く。

母さん、喜んでくれるかな。

最近落ち込んでいる母さんが笑ってくれることを祈って大切に持っていたら、サイレンが聞こえた。

ずいぶん近いな。振り返ったら、俺の歩いている道のすぐそばを消防車が通って行った。

物騒だな……と思いながらカンカン照りの太陽の下家に急ぐ。






家が近くなるにつれ、サイレンの音がまた大きくなる。

もしかして、この真夏に火事?

今度は救急車を見かけた。

そっちは俺が住んでる団地の方だった。