「さよなら」



最後はこう言いたかったんだ。




相手の目を見て、好きになった彼を思い出しながら、そしてもうその彼はいないのだと悟りながら、キッパリと別れを告げる。



返事を待たず、そのままくるりと背を向けて歩き出す。



もう振り返ってみたりはしなかった。



でも輝羅くんは追ってこなかった。



私は修斗くんにお礼を言う前に空を見上げて、ふうっと息を吐いた。



…やっと、終わったよ。



私を押し出すように、ふわっとあたたかな風が吹いてきた。













【完】