「有賀、先帰ってくれ」




「…」




輝羅くんはすこし黙っていたが、私たちを数秒見つめてからさっとその場を去ってくれた。




「朝倉さん。頑張ったね」




子供みたいに頭をよしよしされて、涙が溢れ出てきた。




「ごっ、ごめん。なんか安心しちゃって…すぐ涙止めるから」




「そんなんできないでしょ」




と修斗くん。




「やっとここまでいったのに、涙なんか止められるわけないよ。出し切って」



そっと抱きしめてくれる。そしてとんとんと赤ちゃんをあやすかのように背中をそっと叩かれる。



子供みたいな扱いだけど、でもすごく落ち着く。




「…っぐすっ…」



涙か鼻水か分からなくても、もうどうでもよかった。



私は修斗くんの腕の中でしばらく涙を零し続けた。