言い終えてから、流石に言い過ぎたと思った。なんでこんなにもすらすらと思っていることが口から出たんだろう。怒鳴られそうで、もしくは殴られそうで怖くて、下を向いてぎゅっと目を瞑る。
「…やっと、言ってくれた」
私はその言葉に目を見開いて、顔を上げた。
彼は、泣いていた。
ガラスのように透き通った綺麗な涙を、拭うこともなく零していた。
「…私のためになんか、泣かないでよ」
私はただ不満をぶちまけただけなのに。
私はそのまっすぐさが眩しくて、あまりにも純粋すぎて見ていられなかった。だから目を背けた。
「だって」
彼はそっと私の頬を包んだ。それは私でも払おうと思えば払えるくらいの弱い力だった。
「俺、朝倉さんをほっとくことなんてできないから。何があったとしても助けたいって思ってるから。いままでは心を閉ざしていたけど、やっと俺のことを頼ってくれた。言いたいことを、誰の目も気にしないで最後まで言い切ってくれた。そんな嬉しいことがあったら、…泣くに決まってるじゃん…っ」
「…」
涙だけじゃなくて、言葉もまっすぐだった。
「…あり、がとう…」
うまく言うことができなかった。その理由はー…。
「泣かないで」
彼に言われてはじめて気がついたけれど、私も泣いていたから。
彼はポケットからハンカチを取り出してそっと涙を拭ってくれた。ふわふわで、羽根のようにやわらかい感触だった。
そしてそのまま、そっと抱きしめられる。



