というわけで理由も分からないまま私は輝羅くんの束縛生活から解放された。



よし、何してもいいんだ!



とはさすがにならないけど、でも私には放課後を自由に過ごす権利を得ることが出来た。



なんで彼があんなふうに言ったのかは謎だ。けど、彼の気がおかしいうちに楽しんでおこう。



そう決めていた。




だから私は早速萌映に声をかけた。




「今日遊ばない?」




と言われた萌映は口にしようとしていたエビフライをぽろりと落とした。



「あんなに有賀のこと大好きだって言ってたのに、どうしたの莉桜…!」



しかもエビフライを落としたことを全く気にしていない様子。



というよりは、気づいてないだけなのかな。



「いや、特別に許しをもらって」



「え!ようやく私の“好き”に気づいてくれたの…⁉︎???莉桜だいすき〜」



萌映は私にぎゅっと抱きつく。久しぶりに触れた萌映はあったかくて、そしてほんのりと私の知らない大人の香水の匂いがした。



「いつ行こうか!私今週の日曜日だったら空いてるけど…」



「あー…どうしよう、ちょっと分かんないから聞いてみるね」



本当は輝羅くんが土日で旅行みたいなことを言ってたけど、どうなるか分かんないし。



「別に予定があるなら無理しなくてもいーんだよ!なにも今週の日曜日しか遊べない訳じゃないし!なんなら来週なら…あー、来週は無理だ…再来週の土曜日とかなら空いてるかも!」



「再来週…」



それを聞いて、やっぱり萌映は忙しいんだなとなんとなく理解した。




「うん…来週の土曜日は奏太との付き合って3年の記念日で…それと日曜日は部活があって…ほんとごめんね」




悲しそうに言う萌映。



「こっちこそごめんね!じゃあちょっと聞いてみて、それから考えるね!」




「おっけ!」




私は明るく返事をした。