「へええ。やっぱり俺がいなくて寂しかったでしょ」
「そうだね」
適当に返してしまって焦ったが、輝羅くんはその言葉を聞いただけで騒ぎ出した。
「…っちょっと不意打ちはキツ…」
顔を真っ赤にさせる輝羅くん。
こうしてみれば可愛いのにな。
ただ純粋に、そこだけを切り取ればそういうことを思える。
「莉桜。ペアリング持ってる?」
「あー…うん」
私は曖昧に頷き、鞄からペアリングを取り出した。
そういえば、いつだったか。このペアリング、久保くんが拾ってくれたな。
それで『持ってこない方がいんじゃない?』って注意されたっけ。
そんなん、できるわけないけど。
「交換しよ」
「え?」
「ペアリング」
「え」
思ってもみないことを言われて目を丸くする。
なに、ペアリングってしばらく使ったら交換するもんなの?
私知らなかったんだけど。
え、てか…そんなの聞いたことない。
少なくとも私は知らないけど、萌映に聞けば分かるかもしれない。
「はい、俺の指につけて」
これを断れば結構なダメージになる。
彼はこういうロマンチックな雰囲気が出そうなところで断られたら絶対に怒るはずだ。
もしかしたらまた怪我したところを殴られるかもしれない。



