やっぱり、あんなに強い暴力を受けたのは初めてだったし、あの時…いや、あの時よりずっと前から“好き”っていう気持ちが湧かない。
そんなことを言われて感じるのは、強いて言えば、…虚無感、かな。
じぶんの心にぽっかりとブラックホールみたいな漆黒の穴が開いて、もう塞がらないくらいに大きくなってるような気がする。
そんな穴の中に、———輝羅くんによって開けられた穴に、どんな言葉でも…「大好きだよ」とか、「かわいい」だとか———すべてが入っていって、全然私の心には届かない。
それは彼と一緒にいる限りはもう二度と埋まることのない穴。
もしかしたら、輝羅くん以外の誰かと一緒にいれば埋まるかもしれない。
なんて、私が一緒にいて心から楽しいと思う人なんて萌映くらいしかぱっと思いつかないけど。
でも、萌映といる機会が少ないせいかまだまだ埋まる気配はしない。
輝羅くんの声で、私は我に返った。
「俺が全部プラン立てとくから、当日までのお楽しみだな」
どうやらこちらが決める権利はないらしい。…分かってはいたけど、改めてがっかりする。
「そうだね」
にこりとまた偽りの笑みを浮かべる。
あまりにも酷い笑顔なのか、表情筋がぴくぴくしてる。
「なんか…めっちゃ変な感じすんな。莉桜…この一週間で何があったの?」
見事なスマイルで返された。
一応(一応とか言っちゃいけないけど)輝羅くんはイケメンだからその笑顔にはかなりの破壊力がある。それに加えて、今は無言の圧力も感じる。
「いや…たまには、素直になった方がいいかなって思って」
あながち嘘ではない。
素直になった方がいいなと思った理由は、私と輝羅くんを別れさせるためだけど。



