でも私は、やさしさを知って後悔はしてない。
彼…久保くんのやさしさは、人をダメにするようなやさしさじゃない。むしろその逆なんじゃないかって思う。
だから、私は終わるまで頑張るから。
耐え抜いてみせるから。
「おはよ」
「おはよう」
玄関で待っていた輝羅くんと挨拶を交わす。
そして私は無言でスタスタと歩き出す。
「おい、ちょっと待てよ」
と慌てた様子で追いかけてくる輝羅くん。
「朝は毎日一緒にいたじゃん」
「それでも足りないんだよ」
と言われ、ハグされる。
こうなってしまっては私は終わるまで抜け出せない。
もちろん無理やり出る方法もあるけど、円満な別れを希望している私にとってはその方法はあまりいいものではない。
輝羅くんが私の髪の毛をくるくると自分の指に巻き付けて遊んでいるうちに、私は真面目な顔をしてぐるぐると頭を働かせる。
できるだけ抵抗していないように…できれば受け入れてるような素振りを見せて、それから油断している隙に別れを切り出す、とか。



