私が目を開けると、空は暗くなり始めていた。
しまった、かなり長い時間眠っていたようだ。
隣を見ると、久保くんはまだベンチに座っていた。
彼は私を待っていて退屈したのか、ぐっすりと眠ってしまっていた。
私は久保くんを起こさないように、シャーペンと付箋を取り出した。そしてそこにこう書いた。
「頭の痛みはだいぶ良くなりました。ありがとう」
不思議と薬を飲まなくても頭の痛みは治った。
やっぱり睡眠不足だったのかな。
あのことのせいで、それに今は寝返りを打つだけで怪我したところが痛む。
だからしょっちゅう起きてしまう。
でもこの痛みを言葉にしたってなくなるわけじゃないし、治るのがはやくなるわけでもない。
だからひとりで我慢するより他はない。
そして、私はそれをベンチに貼り付けた。
今日はそこまで風も強くないし、別に張り付けても飛んでいったりしないよね。
私はそれを終えるとベンチから立ち、背を向けた。
そこから電車で10分、徒歩5分。
私はようやく家に着いた。
「ただいま」
私は声をかけるが、「おかえり」の声はなかった。
多分お母さんは仕事かな。



