マシュマロより甘く、チョコレートより苦く





なんなのこの人。めんどくさい。



私が降りるだけなのに着いてこないでほしい。



頭も痛いのが相まってついいらいらしちゃう。



「朝倉さん、ここ最寄りじゃないでしょ」



「そうだけど」



「俺、ここが最寄り」



「…は?」



私は目を見開いた。予想外すぎて、思わず乱暴な口調になってしまう。



だってここ、学校から電車で5分くらいで着いちゃうような場所だよ?



いや、気にするのはそこじゃない。



「…」



恥ずかしさで顔が赤くなった。



「…ごめん、何も聞いてなくて」



私は目線を逸らした。



「…頭痛いから、ちょっと当たっちゃった」



「ううん」



久保くんは首を横に振った。



「…それなら、ちょっと休んでいったら?少しだけなら大丈夫だろうし、電車に乗ってたってあんまりよくならないでしょ」



「…うん」



確かに、私の場合はここからあと電車で10分ほどかかる。



「ちょっとだけ、休んで行こっかな」



と言うと、彼は



「ん」



と頷いて、少し笑った。








「え、ど田舎…」



私は目を丸くしていた。