萌映はいつもと同じように部活があるというので、私はひとりで家路についた。



輝羅くんが隣にいないのは、なんだか不思議。



最近は飽きるほど一緒にいたからな。



いつも輝羅くんが歩いてくれる車道側の腕がすーすーする。



でも、すっきりしてて気持ちいい。



私はそのまま、来た電車に乗り込んだ。



「はぁ…」



自然とため息が出る。



もちろん身体は痛いし、それに加えて頭もズキズキしているような気がする。



今日も家に帰ったらはやく寝よう。



私はそう思って、立ったまま少しだけ目を閉じた。



しばらくすると、



「あぶない!」



という声と、頭につく少しだけ硬い感触と身体の痛みで私は起こされた。



しまった。目を閉じるだけだと思ってたのにいつの間にか寝ちゃってたのか。



私が目を開けると、そこには私の学校の男子の制服が。私の目の前で、校章がキラッと輝いたのが見えた。



「…よかった」



頭上で心から安堵していると思えるような声がした。上を向くと、あのサラサラの金色の髪が見えた。



「…久保くん」



どうやら彼は、私が眠っていて手すりに頭をぶつけそうになっていたのを見つけて助けてくれたらしい。



さっき寝ていた場所から大きく動いていたことから、そう察した。



「…ありが、とう」



私はお礼を言った。