そんなこと輝羅くんに聞かれたらやばいし、まず絶対久保くんが迷惑だもん。
私のことが好きだなんて証拠はないし、それにまだ知り合ってあんまり経ってないし。
もしも仮に、仮にだよ?
私のことを好きだったとしたら、断るしかないし。
私には輝羅くんという彼氏がいるからお付き合いできませんって。
ほんとうは、…。
それは、気づいても言ってはいけないこと。
これだけは本当に、誰にも知られちゃいけないことだから。
輝羅くんにはもちろん、あと、…萌映にも。
これを口に出す機会なんてないだろう。
言ったらすべてが壊れてしまいそうだから。
…さっき、言いそうになったけれど。でも、まだ大丈夫。耐えられる。
だから私は、それを頭の中から追い払った。
まだ付き合って一年も経ってないんだよ?
輝羅くんがいい人だなんて、ずっと前から分かっていたはずでしょ?
だから、…目を覚ましなよ、私。
「もー。莉桜はいつも謙虚なんだから」
萌映はさっきよりももっとむっつりした顔をする。
いいよそれで。



