「でも、莉桜も一途だよね〜。あそこまでずっと好きでいるとは」



「うん。自分でも不思議な気持ち」



認めるよ。どうせ叶わないんじゃないの。何度もそう思ってきた。



こんなに辛い思いをするよりほかの人を好きになった方がいいに決まってる。



けど、やっぱり好きなんだ。



好き。その気持ちは、簡単にやめられるものじゃない。



けど、だからってその気持ちを押し殺すのは良くない。



その苦しさを、私は知っている。



なんどもなんども押し殺そうとしてきたけど、でもやっぱり押し殺しきれなかった。



だから、もし振られたとしてもそのまま好きでいようと思っていた。



「あんな男の何がいいんだか知らないけど、頑張りなよ」



萌映は私の頭をよしよしと撫でてくれた。



萌映はこういう風にボーイッシュでサバサバしているから好きだ。



たぶん萌映が男子だったら萌映に恋してるだろうなって思ったり。



「ま、男子も追い払ったことだし私は奏太にでも会ってくるよ」



奏太、というのは萌映の彼氏の名前。



いつもはちょっとむすっとしているけど、彼は萌映と話すと途端に生き生きし出す。



「じゃあねー。行ってらっしゃい」



「え、莉桜は行かないの?」



「うん。用事あるし」



それに、邪魔したら悪いし。



「そか。じゃね!」



萌映は私に向かって満面の笑みを浮かべながら行ってしまった。



さて。私も帰るか。



私は教室に戻って帰る支度をした。