好きだった同級生に抱き締められた

「大野?」

 背後から降ってきた声に私はびくりとした。

 慌てて溢れかけた涙を拭う。でも酷い顔になっているかもしれないのですぐには振り返らなかった。

「どうした、気分でも悪くなったのか」
「ううん、そうじゃないの。私のことはいいから放っておいて」
「……」

 思いの外声が上擦っていた。こんなときにごまかすこともできないなんて情けないにもほどがある。

 本田くんもきっと呆れてるよね。

 ふわっと温かいものが私の背中を包んだ。

 えっ?

 驚く私の耳を微かな吐息がくすぐる。

「よくわからないけど放ってはおけないな」

 ……本田くん?