好きだった同級生に抱き締められた

 画面を確認すると会社の上司からだった。

 私は「ちょっとごめん」と謝りながら場を離れる。急いで店の外に出ると応答した。

「遅いっ!」

 上司の罵声がいきなり襲ってくる。

 それから彼の怒りのマシンガントークが炸裂した。私のミスにより取引先に届くべきものが届かなかったそうだ。地方に里帰りしていた私では物理的に対応不可能であるため都内在住の上司が代わりに処理してくれたらしい。

 ヘマしたのは私なのだからお叱りの言葉を受けなくてはならないのはわかる。むしろ私の失敗をカバーしてくれた上司に感謝するべきなのかもしれない。

 でも、何でこのタイミングなんだろう。

 通話を終えても私はみんなのところへ戻る気になれなかった。

 私はその場でうなだれる。

 本当に情けない。

 本田くんとのロマンスを期待したのに違ってたし。

 飲み会の隣の席は加藤くんだし。

 その加藤くんにもふられるし。

 菊池さんには適いそうもないし。

 仕事はミスってるし。

 私、駄目駄目だ。

 もう駄目すぎて泣きそう。