大会は翌週の、土曜日に開催された。 秋晴れの空の下、電車で1時間かけて訪れた競技場。 空いているスタンド席を探し、落ち着かない気持ちでウロウロするあたし。 健吾が出るのは、200m走だ。 たぶん、もうすぐ始まるはず……。 『ただいまより、男子200m走を行います』 アナウンスが響き渡り、あたしはトラックの方を見た。 そこには……そこには。 ずっと会いたかった 愛しい人の姿。 「……健吾…っ」 ピストルの音が空高く鳴り響き、歓声が沸いた。