その後、私はマネ-ジャ-に代わって、売場の状況や作業の進捗を確認しながら、遅れている作業のヘルプをしていると


「明日香ちゃん、2時にご予約のお客様のオ-ドブル、上がったよ。」


と松井さんから報告の声が上がる。


「わかりました。じゃぁ、お渡しカウンタ-に持っていきます。」


「お願いします。」


松井さんから商品を受け取った私は、同じフロアにある、予約商品お渡しカウンタ-へ向かう。イヴのこの日は、ケ-キを始めとした、多くの商品の予約をお客様からいただいている。それらを一括して管理し、お渡ししてる場所だ。


カウンタ-担当に、商品を渡し、ついでにというわけではないけど、ケ-キのお渡し状況をチェックする。こういう際物商品は、もしトラブルが起きると、大きくなり、リカバリ-が難しくなる。慎重の上にも、慎重を期さなくてはならない。


「今のところは大丈夫そうだね。」


「うん。何かあったら、すぐに連絡するから。」


「そういう連絡はいらないなぁ。」


お渡しカウンタ-担当の高畑美幸(たかはたみゆき)は同期だから、そんな軽口を叩き合う。


「じゃ、よろしくね。」


「了解。」


サンタの衣装を纏った美幸に見送られて、私はカウンタ-を離れた。新入社員だった昨年は、私も同じように、ここで受け渡しを担当した。でも今年は、この春に先輩が1人、他店に異動したこともあって、本業である売場で頑張る。


売場に戻り、私は松井さんと、次の予約商品のお渡し時間とチキンの次の上がり時間の確認をする。松井さんはこの道20年を優に超えるベテランパ-トさん。入社ほやほやの頃の私は、松井さんを始めとした先輩のパ-トさんに、いろいろ仕事を教わった。でも私は社員、年齢も経験も遥かに上の彼女達にマネ-ジャ-不在のこの時間帯は、指示を出し、相談や報告を受ける立場にある。


それは正直言ってプレッシャ-。社員だからって、肩肘張って、ふんぞり返ってたって、誰も認めてはくれない。自分を高める努力を怠り、ステップアップを怠れば


「小娘が偉そうに。」


と総スカンを食うのが関の山だ。入社してからもうすぐ2年、松井さんを始めとしたパートさん達は、私を立ててはくれてるけど、ちゃんと私、出来てるのかな?時々不安になることがある。